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カタカナ語語尾長音(音引き)省略に関する話題

「サーバ」か「サーバー」か、こういう単語の表記の統一で悩んだことのある方は少なくないかと思いますが。その違いがどこから出てきているのかというのは案外知られていない気がするので、私の知っている範囲で簡単にまとめてみました。

外来語の表記にゆれがあるのは明治の時代からずっと続いていて、そこには一貫した法則といくのもろくにないので一般化してものをいうのは難しいのですが、まぁ戦後ぐらいから、そして語尾の 長音だけに限って話をしましょう。
これはこれで文献をつき合わせて統計的調査をすれば論文に値するぐらいの話だと思ってはいますが、まぁそこまでする気力はありません。

音声学的に言えば、「語尾の長音」というのが英語に限っても「原語において言語学的に長音」かどうかはまちまちで、単にアクセントの概念の違いで日本人的に長音に聞こえるだけのものもありますし、まぁその辺は辞書を単語ごとに引いていただければわかるのですが、中には「er」語尾などは英語でも、長音に入れるかどうか観点でかわりかねない代物もあります(発音の英米差、個人差もあるのですが)。

でも、その単語毎に原語を元に厳密にわけるようなことがされている形跡は私は今のところあまり見つけていません。
どちらかというと、特に近年は「語尾の長音」でわりとひとからげにされています。

で、「語尾の長音省略」は、私の知る限り、工学系の研究者の間ではそういうトレンドは古くからあったようです。この場合は、語尾に限らず「原語的に長音と見なさないものは長音表記しない」大原則が見られます。
ただ、これも、論文単位や著者単位では一貫していても工学系全体だとばらつきがあるというのも実態です。

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002440034「電子管式アナログ・コンピュータ : 自動制御への応用」電気系の論文1953年でしょうか。音引き省略の用例がみつかります。

網羅的に調べたわけではないので根拠が薄いのですが、文系学問や理系でも農学系とかではそんなにはやった形跡がありません。そのあたりは特に1995年以前の状況については当時を知る各分野のみなさんのご意見を伺いたいところです。

で、産業界でもばらばらだった状況が1990年代まで続き、会社毎、マスコミ毎にはガイドラインができても、社会としてはばらばらな状況が続きます。工業系の研究に近い、工業系の産業では世間一般よりも音引き省略を採用する会社は相対的に多かったように思います(ここも各位の助言をいただきたいのですが)。

近年の特筆すべき動きはまず、
1991年の文化庁 「国語表記の基準 内閣告示」
です。カタカナ語の表記についての指針は行政側も戦後ガイドラインを出そうか出すまいか迷走していて、どちらかというと「あまり強制はしない」方向ですが、一応ここで「原則は長音は書くもの」とされ ます。ただし、業界の慣習は否定しないことが明記されています。
この時点で、一般に工業系から導入された単語の方が、工業系の現場の方が、長音省略の普及度が高かったと思われます。
そこへ、次の動きが出たのが
JIS Z8301(1996年版)です。これが今、もっとも有名な「長音省略における統一ルール」です。

------------------
【解説付表3 原語(英語)の語尾の長音符号を省く場合の原則】
    原則 / 例

    a)その言葉が3音以上の場合には、語尾に長音符号を付けない。
        エレベータ(elevator)
    b)その言葉が2音以下の場合には、語尾に長音符号を付ける。
        カ一(car),カバ―(cover)
    c)複合語は、それぞれの成分語について、上記a)又はb)を適用する。
        モータカー(motor car)
    d)上記a)〜c)による場合で、1)長音符号で書き表す音、2)はねる音、
及び 3)つまる音は、それぞれ1音と認め、4)よう(拗)音は1音と認めない。
        1)テーパ(taper)
        2)ダンパ(damper)
        3)ニッパ(nipper)
        4)シャワー(shower)
------------------

ものがJISなので工業系への影響が大きく、それ以外は相対的に少ないようですが、この指針自体「省略する場合はこのルールだとよい」ということで省略しないルールを否定するものではありませんが、わりとわかりやすく、採用が容易なルールではあるので実用上便利ではあります(ただ、これを全部あてはめると、単語によってはやはり違和感が残ると思います、一般的に。「モータカー」は珍しい用例ではないかと)。
参考:http://www2u.biglobe.ne.jp/~standard/faq/faq505.htm

ところが、JIS Z8301(2000年版)で上記長音削除ルールは一度削除され、むしろさかのぼった1991年の内閣告示への言及が残る形になります。
一方でJIS Z8301(2008年版)では再度同様のルールへの言及がなされるという波乱を起こしています。

2008年は、マイクロソフト日本法人も長らく長音省略形を採用していた方針を転換する発表がなされました。
http://nagoya.cool.ne.jp/infinite/column/prolonged_sign.html
http://d.hatena.ne.jp/innx_hidenori/20081216/1229417662
http://forums.firehacks.org/l10n/viewtopic.php?p=8275&highlight=JIS+%E9%95%B7%E9%9F%B3#8275

これからの動向はまたどうなっていくのかむずかしいところです。

元々長音なし表記は原音主義的な動きだったと思われるため、語尾だけ音引きの有無という観点の整理はどことなく違和感があるのですが、現実的にはそこの整理だけ目立つ事情があります。

別の参考例)
http://ci.nii.ac.jp/search?q=%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF&range=1&count=20&sortorder=2
工業系論文では戦前から「トラクタ」、農業系論文では「トラクター」の傾向がこれでも見て取れるかと思います。(全部は見てないので例外はあるやもしれませんが)

CiNiiで同様に「フェルマ」で検索すると圧倒的に「フェルマー」を論文題名にしているものがひっかかりますが、「フェルマ」で止めているものも希にあるようです。

建築の名著、邦訳書名「パタンランゲージ」なんてのもありますね。

2011/12/07追記 JISの長音ルールが2000年削除、2008年復帰と書きましたが、2005年時点に記述あったらしい情報があったので追記しておきます。本日時点、2008年版(2011年にも改訂は細部にはあるようですが2008年版が本日時点で生きてます)はJIS Z 8301 (2008) 「附属書G (規定) 文章の書き方、用字、用語、記述符号および数字」内の「G6.2.2 英語の語尾に対応する長音符号の扱い」に当該部分があります。よく見ると今の記述「英語」だけだし。他の欧州言語由来等は…? Wikipedia‐ノート:外来語表記法 - Wikipedia

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